SSブログ

サロネンの春の祭典 [クラシックCD]

サロネン~ロスフィルのストラヴィンスキー『春の祭典』のCDを聴きました。

「ハルサイ」の新譜が出たと聞けば、何をさておいてもとびつかずにはいられない私ですが、近年ではゲルギエフ盤が最もエキサイティングな演奏で満足させてくれました。

サロネンはフィルハーモニア管とこの曲を以前に録音していましたが、残念ながら私には強烈な印象は残りませんでした。その後サロネンには強い思いがないまま経過し、この新譜も発売から既に2年が経過していますが、その間ほとんど気にとめていませんでした。今回、たまたまCDのネットショップで見つけて、SACD仕様だったこともあり、早速購入して聴いてみました。

サロネン.jpgLe Sacre du Printemps [Hybrid SACD]
  • アーティスト: Bela Bartok,Modest Mussorgsky,Igor Stravinsky,Esa-Pekka Salonen,Los Angeles Philharmonic Orchestra
  • 出版社/メーカー: Deutsche Grammophon
  • 発売日: 2006/10/10
  • メディア: CD
この新譜はロスにある音響効果が良いと評判のディズニー・ホールにおけるライヴ録音ということで、ユニバーサル系のグラモフォンレーベルでは、本当に珍しいSACD録音になっています。出身国のフィンランドの海辺(?)とおぼしき場所にたたずむサロネンのジャケットも素敵で、何やら良い期待感を抱かせてくれます。

私は、実はSACDの音質はCDに比べてもそれほど高く評価しているわけではありませんが、このSACDの音質には感心させられました。ディズニー・ホールの音響効果が良いせいか、フワっと広がるエコーをともなったオーケストラの響きはCDからは聴けないものがあります。こんな程度かと思っていたSACDですが、SACDだって、やればここまで出来るじゃん(!!)と、認識を新たにさせてくれました。ただ、低音が吸収されてしまう我が家のリスニングルームのデッドなアコースティックでは、空気感が伝わると聞いていた大太鼓はそれほど強烈なものではありませんでした。

音質の方から先に書いてしまいましたが、久しぶりに聴くサロネンの指揮も十分説得力の高いものでした。作曲家でもあるサロネンの分析的な演奏は、同じく作曲家兼指揮者のブーレーズとの共通性が感じられます。指揮者へのデビュー当時は非常に新鮮に感じられたブーレーズですが、近年の演奏では私には乾いて無機的に聴こえてしまうことが多くなりました。そこへいくと、より若い世代のサロネンの演奏は、そのサラサラとした流動感が新鮮です。独特なカットグラスのようにクールな持ち味は、出身国フィンランドの国民性の反映でしょうか。

まず、併録のムソルグスキー『禿げ山の一夜』の原典版、バルトークの『中国の不思議な役人』組曲から聴いてみました。ムソルグスキーの『禿げ山の一夜』の原典版は、R・コルサコフによる慣用版のオーケストレーションに比べると、作曲者のオリジナルというよりは、後の現代音楽の作曲家がオーケストレーションし直したかのように聴こえます。バルトークの『マンダリン』は、バルトークのオーケストレーションのシュールなテクスチュアが生々しく彫琢されていて、組曲版ではなく、是非とも全曲版で聴きたいという気持ちを起こさせてくれます。

さて、本題の「ハルサイ」です。聴き直してはいませんが、旧録のフィルハーモニア管との演奏とそれほど大きく変わってはいないと思います。ただ、上記のサロネンの持ち味の長所に気づいてから聴いてみると、そのクールな持ち味がこの曲でもプラスに働いていることがわかりました。他の指揮者からは聴けないサロネン独自の楽器間のバランス感覚やテンポの緩急が、この曲を新鮮に聴かせてくれます。それでも私はこの曲はゲルギエフの強いカリスマ性の方を高く評価しますが。




nice!(1)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:音楽

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。