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ハイドシェックのさすらい人幻想曲 [クラシックCD]

ハイドシェックのカシオペへの録音のCDで再発されています。その中からヘンデル、ドビュッシーに続いてシューベルトを聴いてみました。このシリーズからは本当はショパンが聴きたかったのですが、在庫切れになってしまい、二番手のシューベルトが先に手に入りました。

ハイド.jpgシューベルトの「さすらい人」幻想曲は好きな曲なので、それがハイドシェックで聴けるというのは望外の幸せです。ところがこの曲、実は私にとっての本命ともいうべきリリー・クラウス盤一種しか持っていません。昔、ポリーニで聴いたことがあるかもしれませんが、今は手元にありません。

この曲はシューベルトの作品の中でも名曲なのか、駄作の一つなのか、評価は微妙なところがありそうです。内田光子で是非とも聴いてみたいと思っていたのですが、結局未だに録音されていないのも、多分彼女はこの曲を高く評価していないからだと思います。

私自身のこの曲への評価は、「さすらい人」のテーマによる変奏曲として作られている第2楽章(第2部)の美しさのみに尽きます。この第2楽章に比べて、同じくさすらい人のテーマから作られている他の3楽章の出来は大分、いやかなり劣るのではないかと思います。

クラウス盤は本命にふさわしく、これで十分というほどチャーミングな演奏なのですが、何分にもこの演奏しか聴いていないので、この演奏が他の演奏に対してどうのこうのという客観的な比較が残念ながらできません。

さて、ハイドシェックで聴いてみて、まず印象に残ったのが、あまり出来がよくないと思っていた第2楽章以外も、結構面白く聴かせてくれていることです。さすがハイドシェック、何物かに取り憑かれたかのようなシューベルトの想いが熱く伝わってきます。

さて、本命の第2楽章ですが、この6分少しほどの楽章だけでハイドシェックはクラウスより2分も長く演奏時間がかかっています。クラウスとは違う曲を聴いているかと思われるほどです。ハイドシェックは思い入れが少し強すぎ、逆にここはクラウスの端麗な演奏の方が懐かしくなります。それでもテーマの深々とした歌い方や、第3変奏の左手の伴奏音型の意味深さなど聴き所はたくさん詰まっています。

ハイドシェックのシューベルトは後年の宇和島コンサートでの「即興曲」では、原型をとどめないまでに弾き崩されてしまっています。このシリーズは70年代の若き日のハイドシェックの録音が集められていますが、若き日のハイドシェックのシューベルトは思い入れは深いものの、まだ十分に瑞々しく新鮮です。

このカシオペのLP復刻シリーズはLP一枚をCD一枚に置き換えるという方法が採られているので、このシューベルトの一枚も、さすらい人の併録はヘ短調の四手用の幻想曲1曲のみで、全部でわずか43分ほどしか収録されていません。併録の幻想曲はターニャ夫人との夫唱婦随の演奏で、これもシューベルトならではの人懐っこい魅惑がこぼれ落ちるような演奏になっています。




さすらい人幻想曲、幻想曲ヘ短調 ハイ ドシェック、T.ハイドシェック icon

Piano Sonata.21, Wanderer-fantasie: Lili Kraus icon



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