エガーのブランデンブルク協奏曲 [クラシックCD]
バッハのブランデンブルクの新盤を久々に聴きました。キーボード奏者のエガーが統率するエンシェント室内管弦楽団によるピリオド演奏です。エンシェント室内管のブランデンブルクは以前の主宰者ホグウッドによる演奏に次ぐ再録になります。
ピリオド演奏ではアーノンクールらを第一世代、ホグウッドらを第二世代とするならば、エガーはさしずめ第三世代に属するピリオド奏者です。
ホグウッドのピリオド演奏が持つドライな歯切れの良さは、個人的にはセカセカと感じられて、今一つ馴染めないものがありました。そこへいくと第三世代に属するエガーの演奏は肩からすっかり力の抜けた融通無碍なピリオド演奏で、全く違和感がありません。
最近聴いたピリオド演奏では、イル・ジャルディーノ・アルモニコのヘンデルの作品6の合奏協奏曲には、期待が大きかっただけに期待はずれの出来でがっかりさせられました。初めて聴く団体によるこのブランデンブルクも、正直期待していませんでしたが、結果は予想を上回る好演を聴かせてくれました。
弦楽部は各パート一人の室内編成で、ホルン2本に3本のオーボエとファゴット一つが加わる第1番でさえ、この最小編成で通されています。私の知る限り、過去のブランデンブルクではゲーベル~ムジカ・アンティカ・ケルンの演奏が最も小さい編成でしたが、さすがに第1番における弦楽部は各パートが複数で担当されていました。
ここでは弦楽部に各パート一人という編成を取ることで、ソロはリピエノに対抗する必要がなくなるため、ソロとリピエノが一体化したより親密な合奏が実現しています。融通無碍な音楽の運びも、この編成に因るところが大きいようです。
通奏低音は各曲共通にエガーのチェンバロのほかリュートが採用されていますが、各パート一人なので、このリュートのドロンドロンとした低音はかなりよく耳につきます。
私にとってブランデンブルクの好きな演奏はいずれもピリオド演奏で、独自の修辞学的な解釈による第一世代のアーノンクールの再録音、第二世代のムジカ・アンティカ・ケルンによる強い表現意欲にあふれる演奏に惹かれていました。それらに比べると、この第三世代のピリオド演奏には、肩の力の抜けた分、部分的には物足りなさにつながる部分も見られます。特に弦楽器だけの第3番と第6番は、聴感上も弱く聴こえる低音部にはさらに強い支えを求めたいところです。これはオフマイクの録音のせいで、低音弦楽器の角が丸められてしまっているせいかもしれません。
けれども管が加わる他の協奏曲では、その融通無碍、春風駘蕩とした音楽の運びが、この演奏ならではのチャーミングな魅力を伝えてくれます。羽目を外して暴れまくる1番のホルン、この上なくメローな2番のトランペットなど、至る所にチャームポイントが満ちています。この曲集を楽しむ上で、ここにまた一つ魅力的な新盤が加わったと言えそうです。
このCDはSACD盤ですが、ホールトーンをたっぷりと収録したオフマイクの録音は、前記したように低音弦楽器の押し出しを弱めてしまっている反面で、硬調になりがちなノンヴィヴラートの高音弦を柔らかく聴かせてくれています。私のタンノイのスピーカーでは通常の録音ではノンヴィヴラートのピリオド演奏の弦楽アンサンブルはどれも硬く聴こえてしまいますが、この録音で初めて硬くならないノンヴィヴラートの弦楽アンサンブルの音を聴くことができました。これはSACDによる恩恵かもしれません。
ブランデンブルク協奏曲全曲 エガー&エンシェント室内管弦楽団(2SACD)
ピリオド演奏ではアーノンクールらを第一世代、ホグウッドらを第二世代とするならば、エガーはさしずめ第三世代に属するピリオド奏者です。
ホグウッドのピリオド演奏が持つドライな歯切れの良さは、個人的にはセカセカと感じられて、今一つ馴染めないものがありました。そこへいくと第三世代に属するエガーの演奏は肩からすっかり力の抜けた融通無碍なピリオド演奏で、全く違和感がありません。
最近聴いたピリオド演奏では、イル・ジャルディーノ・アルモニコのヘンデルの作品6の合奏協奏曲には、期待が大きかっただけに期待はずれの出来でがっかりさせられました。初めて聴く団体によるこのブランデンブルクも、正直期待していませんでしたが、結果は予想を上回る好演を聴かせてくれました。
弦楽部は各パート一人の室内編成で、ホルン2本に3本のオーボエとファゴット一つが加わる第1番でさえ、この最小編成で通されています。私の知る限り、過去のブランデンブルクではゲーベル~ムジカ・アンティカ・ケルンの演奏が最も小さい編成でしたが、さすがに第1番における弦楽部は各パートが複数で担当されていました。
ここでは弦楽部に各パート一人という編成を取ることで、ソロはリピエノに対抗する必要がなくなるため、ソロとリピエノが一体化したより親密な合奏が実現しています。融通無碍な音楽の運びも、この編成に因るところが大きいようです。
通奏低音は各曲共通にエガーのチェンバロのほかリュートが採用されていますが、各パート一人なので、このリュートのドロンドロンとした低音はかなりよく耳につきます。
私にとってブランデンブルクの好きな演奏はいずれもピリオド演奏で、独自の修辞学的な解釈による第一世代のアーノンクールの再録音、第二世代のムジカ・アンティカ・ケルンによる強い表現意欲にあふれる演奏に惹かれていました。それらに比べると、この第三世代のピリオド演奏には、肩の力の抜けた分、部分的には物足りなさにつながる部分も見られます。特に弦楽器だけの第3番と第6番は、聴感上も弱く聴こえる低音部にはさらに強い支えを求めたいところです。これはオフマイクの録音のせいで、低音弦楽器の角が丸められてしまっているせいかもしれません。
けれども管が加わる他の協奏曲では、その融通無碍、春風駘蕩とした音楽の運びが、この演奏ならではのチャーミングな魅力を伝えてくれます。羽目を外して暴れまくる1番のホルン、この上なくメローな2番のトランペットなど、至る所にチャームポイントが満ちています。この曲集を楽しむ上で、ここにまた一つ魅力的な新盤が加わったと言えそうです。
このCDはSACD盤ですが、ホールトーンをたっぷりと収録したオフマイクの録音は、前記したように低音弦楽器の押し出しを弱めてしまっている反面で、硬調になりがちなノンヴィヴラートの高音弦を柔らかく聴かせてくれています。私のタンノイのスピーカーでは通常の録音ではノンヴィヴラートのピリオド演奏の弦楽アンサンブルはどれも硬く聴こえてしまいますが、この録音で初めて硬くならないノンヴィヴラートの弦楽アンサンブルの音を聴くことができました。これはSACDによる恩恵かもしれません。
ブランデンブルク協奏曲全曲 エガー&エンシェント室内管弦楽団(2SACD)
2009-05-24 23:36
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