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プーランクの協奏曲集 [クラシックCD]

プーランクの協奏曲集のCDを聴きました。あんなに管楽器が好きだったプーランクは管のための協奏曲は残していません。このCDのタイトルには「鍵盤楽器のための協奏曲集」とありますが、この2枚のCDに収録されているオルガン、チェンバロ、ピアノという3種のキーボード用に書かれた協奏曲が、プーランクが書いた全ての協奏曲になります。

プーランク.jpg今回発売された盤は80年代後半のデジタル録音で、SHM-CD仕様による再発売盤です。近年はプーランクのまとまった協奏曲集のCDの新譜はあまり出ていないので、この再発盤は貴重です。

実はプーランクの作品は指揮者や奏者によって、意外なほどに大きな違いが出ません。これらの協奏曲も、個人的には実は他に本命盤があるのですが、以下に記すその本命盤とこの新盤との相違についても、その差をかなり誇張して書いているかもしれません。

プーランクは「聖と俗」との両面を併せ持った作風が特徴ですが、協奏曲をはじめ管弦楽曲は概ね、この作曲家の軽妙でウイットに富んだ「俗」の一面を表現した作品が多いようです。

協奏曲中、唯一「聖」に属する一面を聴かせているのが「オルガン、弦楽とティンパニのための協奏曲」、いわゆるオルガン協奏曲です。この曲にはプーランクの神秘的で宗教的な合唱曲の谺が聴かれます。この曲を初めて聴いた時には、その強烈な音楽の奔流の激しさに圧倒されてしまいました。軽妙な曲が多いプーランクの作品の中では異例に深刻な作品です。

全7部構成の中で、第2部のアレグロ・ジョコーソでは軽妙なジャズ風の動きを見せたり、クライマックスの第6部のアレグロではオルガンがハーディ・ガーディーのような効果を聴かせたりと、深い神秘に包まれた全曲の中で、この作曲家の「俗」の一面も見事にコントラストされています。

私にとってのこのオルガン協奏曲のベスト盤はマルティノン指揮のORTF管、マリー=クレール・アランのオルガンによる演奏です。ここではマルティノンの指揮が小型カラヤンかトスカニーニみたいで、スタイリッシュかつ先鋭です。

今回の再発盤は全てコンロン指揮のロッテルダム・フィルの演奏ですが、この曲のオルガンはマルティノン盤と同じアランがつきあっています。コンロンは激しいマルティノンよりも随分とオットリとして聴こえますが、マルティノンの後任として新しいデジタル録音に起用された指揮者としては、その丁寧な演奏はこれで十分といった出来といってよいかもしれません。

1枚目のオルガン協奏曲にはチェンバロ協奏曲「田園の合奏」がカップリングされていますが、ここでチェンバロを受け持つコープマンが出色です。この曲は前記マルティノン盤も同じカップリングで、そこではヴェイロン=ラクロワがチェンバロを弾いていました。これも指揮はより辛口なマルティノンの方に軍配を挙げたいところですが、チェンバロのコープマンの一ひねり小技を効かせた演奏は面白いと思いました。

2枚目は、2台と1台用の2つのピアノ協奏曲と、ピアノが独奏的に活躍する室内楽の舞踏協奏曲「オーバード」が収められています。これらもどれもプーランクならではのウィットに富んだチャーミングな曲です。ピアノはどれも、かつてショパン弾きとして定評のあったデュシャーブルで、2台用のセカンドはコラールが弾いています。

例えば、これも2台用の協奏曲はプレートルの指揮でフェヴリエと作曲者自身のピアノという超名演が残されています。作曲者自身の自演盤というのは通常、どれもがつまらなくてがっかりさせられますが、この作曲者自身がピアノに加わった演奏は呆れるほどに軽妙で、これは名演です。そこへいくと、コンロン盤は指揮も2台のピアノも随分と生真面目に聴こえます。

と言うわけで、これらの曲には他に名演があるのを承知しつつも、これらの曲をより新しいデジタル録音で楽しみたいという時には、このコンロン盤にしばしば手が伸びそうです。




鍵盤楽器のための協奏曲集 アラン、コープマン、コラール、他 コンロン&ロッテルダム・フィル(2SHM-CD) icon


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