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没後400年の長谷川等伯展 [絵画]

没後400年記念の長谷川等伯展は、等伯の生涯を通じてのほぼ全ての作品が展示されるという、おそらく一生に一度だけの貴重な展示会になりました。

ネットで調べたら、平日にもかかわらず110分待ちと出ていたので、待つのが苦手な私としては、一度は見るのをあきらめましたが、思い切って9時半の開館少し前に行ってみたところ、幸い30分待ちで入場できました。展示最終週のウィークデーの木曜日でした。

IMG_1397A.jpg


仏画師として出発した等伯はその後、肖像画や黄金の障壁画、水墨画と、様々に異なるジャンルの絵画を残しました。「絵師の正体を見た。」というこの展示会のサブタイトルにあるように、今回の展示に際しては、それらの作品が、ほぼ制作年代順にジャンルごとにまとめて見られるようになっています。

この時代の日本の画家には未だ自身の個性は意識されていなかったとはいえ、それぞれ異なる作風の作品から等伯のアイデンティティを感じ取るのは不可能です。

これは展示会のチラシから取った障壁画の傑作「楓図壁貼付」です。水墨画の代表作「松林図屏風」で知っていた等伯ですので、こんな華麗な障壁画を同じ画家が残していたこと自体、昔は知りませんでした。

楓.jpg

代表作として知られる「松林図屏風」です。この写真もチラシの裏から取っています。この作品は本展の主催元の東京国立博物館が所蔵していますが、国宝なので常時公開はされていません。2年ほど前に期間限定で公開されたことがあり、その折りに一度見ているので、見るのは今回が二度目になります。

この絵は下絵であると言われていますが、それを屏風に仕立てているということは、等伯自身がこれはこれで立派に完成された作品であると認識していたのかもしれません。

数々のジャンルの絵画を手がけた等伯ですが、晩年にたどり着いた境地が簡素な水墨画の世界だったようです。「松林図屏風」はそれ以前の作品と言われており、確かに晩年の水墨画とも異なる独自の幽玄な抽象美を見せています。

松林図.JPG


一見アイデンティティが感じられないほどに、様々に異なる作風の作品を残した等伯ですが、その画業の生涯を通してたどってみると、そこには一貫した等伯の意志が貫かれていることがわかりました。それを実感できた、良い展示会でした。

この後開催予定の京都展にオッカケで行ってみようかという気分です。


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