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マントヴァーニの「我が心のイタリア」 [クラシックCD]

マントヴァーニ楽団はクラシックではなくポップスのジャンルに属する団体になるのでしょうが、その中の一枚「Italia Mia 我が心のイタリア」のCDは今でも、オーディオチェック用に重宝しています。マントヴァーニ楽団のような音楽は、昔はムードミュージックと呼ばれてBGMによく使われていましたが、今ではイージーリスニングという名称の方が普通でしょうか。


Italia Mia / Verzauberter Klang Aus Germany

Italia Mia / Verzauberter Klang Aus Germany

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Dutton Vocalion UK
  • 発売日: 2003/08/12
  • メディア: CD

このアルバムの中の一曲「ベルサルエリ・マーチ」は、その昔、この曲のこの演奏が朝のFM放送の音楽番組のテーマに使われていました。今でもこれを聴くと懐かしさを覚えると同時に、パブロフの犬のように反射的に「ああ、朝だな」という気分になってしまいます。

このマントヴァーニのベルサリエリ・マーチは、体調のよくないときにこれを聴くと気持ちがリフレッシュされて元気ななれるという、まさに音楽療法効果を持った曲であり演奏ですが、心と身体だけではなく、再生装置のハードにも効果があるらしく、オーディオチェック用に使っているのもこの曲です。このところ我が家の再生装置の調子があまりよくなかったので、オーディチェック用のこの一枚を久しぶりに取り出してみました。

この曲ではマントヴァーニサウンドとして名高いストリングスだけではなく、ブラスやパーカッションも賑やかに活躍しますが、やはりチェック用に聴くのはそのストリングスの方です。

カスケードサウンドとも呼ばれ一世を風靡したマントヴァーニのストリングスはその名のように、シャワシャワとシャワーが降り注ぐような音がします。実はこのサウンドはヴァイオリン群の数人ずつを微妙に遅らせながら弾かせることで、エコー効果の一種として作り出していたようです。そう言えば、この頃いわゆるステレオ電蓄と呼ばれていた再生装置のアンプ部分にはエコー付加ボタンが付いていました。

そのカスケードサウンドが英デッカのステレオ録音技術と相まって、マントヴァーニのLPは60~70年代当時ハイファイ録音の代表として定評がありました。これは英デッカ独特の高域の強調されたイコライジングも奏功していたようです。今聴くと多分に人工的なサウンドなのですが、高域が伸びない故に中高域がツッパッて聴こえることの多かった当時の一般的なステレオ録音から見れば、マントヴァーニの録音はそのイコライジング効果により、いかにも高域がスムースに伸びているように聴こえました。

これは当時の英デッカの録音すべてに共通する特徴というわけではありませんが、ちょうど同じ頃の英デッカによるアンセルメ~スイスロマンド管の録音にもマントヴァーニと同傾向のイコライジングが認められます。

では、なぜそのマントヴァーニの人工的なサウンドがオーディオチェック用になるのかというと、そのサウンドは結果的に、再生音に免罪符的効果をもたらすからです。すなわち、マントヴァーニのスムースなストリングスはいつ聴いてもそれなりに良く聴こえるので、このCDですらうまく再生できないということであれば、再生装置のどこかによほどの問題があるということになります。

少しぐらい再生装置がよく鳴らないときでも、このマントヴァーニのベルサリエリ・マーチをかければ再生音の状態も治ってしまうことすらあるほどです。それにしても、心と身体だけではなく再生装置というハードにまで効いてしまう? というこれは魔法の薬のような曲です。

この「我が心のイタリア」と題する一枚は英国で活躍したマントヴァーニの出身国であるイタリアへのオマージュといった内容で、ベルサリエリ・マーチの他はナポリターナやオペラのアリアからの編曲がマントヴァーニサウンドで収められています。通常はこの手のクラシックのポップスへの編曲など、敢えて聴く気持ちにはなりませんが、この一枚は英デッカサウンドの魔力も手伝って、結構全曲、約40分を通して聴いてしまいます。この一枚は今手元にあるのは89年製の初期CDですが、現在発売されているCDでは、日本では発売されなかったドイツのポップス集が併録されているようです。

Italia Mia
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