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EMI名盤SACDシリーズのサンプラー [クラシックCD]

EMI名盤SACDシリーズは何回か取り上げていますが、そのサンプラー「交響曲・管弦楽曲・協奏曲編」が出たので聴いてみました。

今回プレーヤー側の不手際でそれとわからずにハイブリッドのCD層の方で聴いていました。「おやっ~、これでSACDなの?」と思いつつ確かめてみたら、やはりCD層の方でした。先入観なしに聴けたお陰で、SACD層に対するCD層本来の実力が却ってわかったような気がします。やはりCD層の音質はSACD層に比べると、高弦の音が録音年代相応に乾いて聴こえます。そのあとでSACDに切り替えてみると、確実に高弦が随分滑らかに聴こえるようになることが確認できました。

もちろん以前ブログに書いた通り、CD層だけでレギュラーCDのリマスタリングと本CDのDSDリマスタリングを比べると、DSDリマスタリングによる改善効果の高さは明らかです。それでも DSDリマスタリングをもってしても、こうした往年の録音では、SACD層に比べるとCD層での高弦の伸びの不足が目立つことがわかりました。


EMIクラシックスSACD名盤シリーズ ベスト・サンプラー 第1集(交響曲 管弦楽曲 協奏曲編)

EMIクラシックスSACD名盤シリーズ ベスト・サンプラー 第1集(交響曲 管弦楽曲 協奏曲編)

  • アーティスト: ミュンシュ(シャルル),クレンペラー(オットー),テンシュテット(クラウス),パリ管弦楽団,フィルハーモニア管弦楽団,ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団,ロンドン交響楽団,ワイセンベルク(アレクシス),デュ・プレ(ジャクリーヌ)
  • 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
  • 発売日: 2012/01/18
  • メディア: CD


このサンプラーの収録曲の中で実際に購入したのはミュンシュの幻想交響曲だけだったので、その他の演奏が聴けるということでも、このサンプラーは参考になりました。

全8曲は各々、楽章は全て収録。ミュンシュの幻想は第4楽章を収録。協奏曲はワイセンベルクのラフマニノフの2番、デュプレのエルガー(共に第一楽章)のみ。クレンペラーが指揮する演奏はメンデルスゾーンの「フィンガルの洞窟」と「イタリア」交響曲の第一楽章、そしてマーラー「大地の歌」第一楽章と3曲も収録されています。全部でわずか8曲しかないのに、そのうちクレンペラーのメンデルスゾーンが2曲も入っているという選曲は一考の余地がありそうです。このサンプラーでは他に器楽~声楽曲編が発売の予定になっていますが、わずか8曲だけのこの選曲だと、交響曲~協奏曲編の第2集が欲しくなってしまいます。

録音の良しあしは録音年代が忠実に反映されていて、72年のプレヴィン「くるみ割り」の花のワルツ、78年のテンシュテット、マーラー5番のアダージェットは、ここに収録されている他の60年代録音より格段に近年の録音バランスに近づいているのが、こうして同じ土俵で比較してみるとよくわかります。ラフマニノフの2番協奏曲は72年録音ですが、60年代に多かったステージ眼前の近接した収録バランスの録音ですが、SACDでは、それだけに近接感が生々しく再現されます。

このように、ここに収録されている往年のステレオ録音は、その全てが最新デジタル録音のようなバランス感覚で収録されているわけではありませんが、それはそれで、それぞれのアコースティックにはやはりCDでは聴けない生々しさを聴くことができます。

CDでは古さのデメリットだけがクローズアップされる録音の場合でも、SACDではLPの場合同様に、古いなりにその録音の良さをわからせてくれる場合があるのは、CDにはない生々しさ故かもしれません。もちろん、その逆でCDではそれほど目立たなかった古さがSACDではクローズアップされてしまうというケースもあるのですが、ここに収録されている本シリーズのSACDへのリマスタリングは前者の良い方の例になります。

かといってSACDの音が、CDでは聴けなかったアナログLPの音に近づいたわけでは決してありません。SACDの音はLPとは全くの別物です。SACDの音は多分、アナログ録音のマスターテープにはLPよりも近い音かもしれません。でも、それは昔聴いたオープンリールテープデッキの再生音とも、また違うものなのですが。

SACDの音は再生方式としてはCDと大差ないので、当初はCDの上級バージョンと認識していました。確かにそういう一面もありますが、CDでは聴けなかったマスターテープに入っていたアナログ録音の情報量が、ここまで生々しく再生されるようになったということでは、やはり凄い実力があるメディアであることに、最近やっと気づくようになりました。

CDと比べあまり大きな改善効果はないのではないかと、最近ではほとんど取り出すことのなくなってしまっていたRCAのリヴィングステレオシリーズのSACDですが、この機会にもう一度取り出して聴き直してみようと思っています。


EMIクラシックス名盤SACDシリーズ ベスト・サンプラー第1集(交響曲 管弦楽曲 協奏曲編)
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タグ:EMI名盤SACD
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