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マッケラスのヤナーチェク・シンフォニエッタ [クラシックCD]

ヤナーチェクの『シンフォニエッタ』は不思議な曲です。ファンファーレまでが吹き鳴らされる祝祭的な曲なのに、日常の現実における祝祭ではなく、どこか別の星の国の祭典に遭遇しているかのような不思議な世界に誘ってくれる曲です。そのファンファーレ用にはオーケストラの他に、トランペットが12人も並ぶ別働隊のファンファーレ専用のブラスバンドが必要とされています。

ヤナーチェクは、どちらかといえば苦手な作曲家に属しますが、この曲や歌劇『利口な女狐の物語』 などに表現されている、独特なシュールな雰囲気には惹き付けられるものがあります。そう言えばチェコというと、あのカレル・チャペックの『長い長いお医者さんの話』もそうですが、東欧の中でも独特なシュールな伝統があるのかもしれません。

この曲を初めて聴いたのはセルの盤でした。セルの硬質で無機的な演奏はこの曲にピッタリで、お気に入りの演奏でした。

セル.jpgヤナーチェク:シンフォニエッタ/バルトーク:管弦楽の協奏曲

セル~クリーヴランド管弦楽団 CBSソニー SRCR2556










この曲にウィーンフィルをマッケラスが指揮した盤があります。マッケラスはヤナーチェクのスペシャリストとして知られていますが、前から気になっていた演奏なので、新装発売を機に聴いてみました。イギリス人のマッケラスであれば、ウィーンフィルよりもフィルハーモニア管か何かの方がふさわしいのでは、とも思っていましたが、その心配は杞憂に終わりました。ウィーンフィルは歴史的に東欧の血も混じっているだけに、ブラスが活躍するこの曲ではウイーンフィルの古風なブラスの独特な強い匂いが効果的に働いています。

マッケラス.jpgヤナーチェク:シンフォニエッタ

マッケラス~ウィーンフィルハーモニー管弦楽団 デッカ UCCD3950













マッケラスの指揮もさすがヤナーチェクのスペシャリストだけあって聴かせます。ウィーンフィルの古風な音色をヤナーチェクの曲が持つシュールな雰囲気の中に生かしたのは、まさにマッケラスの達観です。ここまで聴かされてしまうと、ベスト盤と思っていたセルの演奏が霞んでしまったのが、逆に残念です。

この曲は、セルのほかレーグナーでも聴いていました。レーグナーも鋭くユニークな読みを聴かせてくれる指揮者ですが、残念ながらレーグナーをもってしてもマッケラスには敵わなかったようです。

なお、この曲の第4楽章「街にて」には、街中の警鐘を思わせるベルの音が効果的に使われていますが、この警鐘の音は指揮者によって鉄琴を使う指揮者とチューブラーベルを使う指揮者に分かれるようです。セルはチューブラーベルですが、マッケラスとレーグナーは鉄琴を使っています。私は、ここだけはセルのチューブラーベルに軍配を挙げたいのですが。





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