大淋派展の風神雷神図 [絵画]
大淋派展に行ってきました。
お目当ては当然、『風神雷神図屏風』です。17世紀の初頭、江戸時代の初期という昔の日本で、まるで現代のアニメかコミックを思わせるかのように大胆にデフォルメされたキャラクターが、俵屋宗達の手により生み出されていたというのは、まさに驚異的です。通常は花と音楽について書いているブログですが、この絵はどうしても実物を見たいと思っていたので、実際に見に行った感想をブログに書いてみました。
この作品は宗達の作品とばかり思っていましたが、宗達以外にも淋派の画家による模写が他に3つも存在するということを今回、初めて知りました。
今回の展示ではオリジナルを含めた4作品が全て見られるようになっています。
ここに掲載したチラシの作品は尾形光琳による模写で、宗達のオリジナルが国宝なのに対して、こちらの光琳の模写は重文指定になっています。
期間中、展示替えがあり、宗達のオリジナルは10月28日からの展示でしたが、幸いこの後に訪れたので、4作品を全て見ることができました。
下の図版は、チラシの裏に掲載されている雷神の4作品の比較で、左から順に宗達のオリジナルと、それぞれ尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一による模写です。
会場では4作品の実物が同じ展示室で比較して見られるように展示されています。そこに写し手の微妙な個性の違いは反映されるかもしれませんが、模写はあくまで模写であり、当然のことながら宗達のオリジナルが最も優れているのは一目瞭然です。
宗達のオリジナルでは、左の雷神が持つ太鼓が画面からはみ出して一部が切れてしまっています。このため画面に広がりと動きが出ていると評されています。宗達が意図的に切ったのかどうかはわかりませんが、無意識であるとすならば、極めて鋭い直観力が画面の空間構成に働いていると言えます。その結果左の雷神は左上に、右の風神は右下へと少しズレて見える、見た目に不均衡なアシンメトリーが生じているのも効果的です。
光琳の模写では、おせっかいにも、切れないようにわざわざ下に下げられています。このため広大な空間性が失われてしまっているのと同時に、風神と雷神が左右対称に配置されたことでシンメトリー感が強調され、動きも失われてしまっているようです。
それにしてもこの展示会はかなり混雑しており、ネットの混雑状況には比較的空いていると表示されている開館時を狙いましが、予想以上の人出でした。おまけに風神雷神の4作品が展示されているのは、会場に入って間もない第2室なので、さらに混み合っています。陳列ケースの前には黒山の人だかりが群がり、残念ながら屏風の画面全体を俯瞰して見られる状態ではありませんでした。
宗達の風神雷神のオリジナルは元来、京都の建仁寺の所蔵です。現在、実物は京都国立博物館に寄贈され、建仁寺で見られるのは高精度の複製だそうです。京都国立博物館の本物は常時公開されていないので、複製でもいいので、一度京都の建仁寺を訪れ、ゆっくりと鑑賞したいものです。
面白いことに、展示室も奥へと進むのにつれて人混みもバラけてきて、最後の方に展示されている酒井抱一の『夏秋草図屏風』は落ち着いて鑑賞することができたのが、幸いにも今回の収穫になりました。この作品は、現在では保存上セパレートされたようですが、当初は風神雷神図へのオマージュとして、光琳の風神雷神図屏風の裏に描かれていたということです。裏に描かれたので原図とは逆向きに、左側の秋草が風神に、右側の夏草が雷神に対応されているそうです。
お目当ては当然、『風神雷神図屏風』です。17世紀の初頭、江戸時代の初期という昔の日本で、まるで現代のアニメかコミックを思わせるかのように大胆にデフォルメされたキャラクターが、俵屋宗達の手により生み出されていたというのは、まさに驚異的です。通常は花と音楽について書いているブログですが、この絵はどうしても実物を見たいと思っていたので、実際に見に行った感想をブログに書いてみました。
この作品は宗達の作品とばかり思っていましたが、宗達以外にも淋派の画家による模写が他に3つも存在するということを今回、初めて知りました。
今回の展示ではオリジナルを含めた4作品が全て見られるようになっています。
ここに掲載したチラシの作品は尾形光琳による模写で、宗達のオリジナルが国宝なのに対して、こちらの光琳の模写は重文指定になっています。
期間中、展示替えがあり、宗達のオリジナルは10月28日からの展示でしたが、幸いこの後に訪れたので、4作品を全て見ることができました。
下の図版は、チラシの裏に掲載されている雷神の4作品の比較で、左から順に宗達のオリジナルと、それぞれ尾形光琳、酒井抱一、鈴木其一による模写です。
会場では4作品の実物が同じ展示室で比較して見られるように展示されています。そこに写し手の微妙な個性の違いは反映されるかもしれませんが、模写はあくまで模写であり、当然のことながら宗達のオリジナルが最も優れているのは一目瞭然です。
宗達のオリジナルでは、左の雷神が持つ太鼓が画面からはみ出して一部が切れてしまっています。このため画面に広がりと動きが出ていると評されています。宗達が意図的に切ったのかどうかはわかりませんが、無意識であるとすならば、極めて鋭い直観力が画面の空間構成に働いていると言えます。その結果左の雷神は左上に、右の風神は右下へと少しズレて見える、見た目に不均衡なアシンメトリーが生じているのも効果的です。
光琳の模写では、おせっかいにも、切れないようにわざわざ下に下げられています。このため広大な空間性が失われてしまっているのと同時に、風神と雷神が左右対称に配置されたことでシンメトリー感が強調され、動きも失われてしまっているようです。
それにしてもこの展示会はかなり混雑しており、ネットの混雑状況には比較的空いていると表示されている開館時を狙いましが、予想以上の人出でした。おまけに風神雷神の4作品が展示されているのは、会場に入って間もない第2室なので、さらに混み合っています。陳列ケースの前には黒山の人だかりが群がり、残念ながら屏風の画面全体を俯瞰して見られる状態ではありませんでした。
宗達の風神雷神のオリジナルは元来、京都の建仁寺の所蔵です。現在、実物は京都国立博物館に寄贈され、建仁寺で見られるのは高精度の複製だそうです。京都国立博物館の本物は常時公開されていないので、複製でもいいので、一度京都の建仁寺を訪れ、ゆっくりと鑑賞したいものです。
面白いことに、展示室も奥へと進むのにつれて人混みもバラけてきて、最後の方に展示されている酒井抱一の『夏秋草図屏風』は落ち着いて鑑賞することができたのが、幸いにも今回の収穫になりました。この作品は、現在では保存上セパレートされたようですが、当初は風神雷神図へのオマージュとして、光琳の風神雷神図屏風の裏に描かれていたということです。裏に描かれたので原図とは逆向きに、左側の秋草が風神に、右側の夏草が雷神に対応されているそうです。
タグ:絵画 美術展
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