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ストコフスキーのバッハ・トランスクリプション [クラシックCD]

ストコフスキー~チェコフィルのバッハ・トランスクリプションがSHM仕様で新装発売されたので、早速聴いてみました。この前のブログではオーマンディのバッハ・トランスクリプションを取り上げましたが、バッハのトランスクリプションと言えば、私にとっては当然こちらが本命です。

ストコ・バッハ.jpgストコフスキーのバッハ・トランスクリプションは、SP時代のフィラデルフィア管との録音以降、ステレオになってからも、それぞれ違うオケで3種ほど残されています。初めが「彼の管弦楽団」という実体不明のオケ(ヒューストンかロスフィル?)、最後がロンドン響、そして2回目がこのチェコフィルとの共演で、何とライヴ録音です。ライヴと言っても、LP当時英デッカでフェイズ4と呼んでいた左右の分離を強調した人工的なステレオ録音方式が採用されています。この録音方式とストコフスキーのど派手な演奏とが相俟って、まさに、えっ、これがチェコフィル? と思えるような華麗なサウンドに仕上がっています。ストコフスキーにあっては、、ライヴかスタジオ録音か、はたまたオケはどこかなどといった相違は、指揮者の強烈な個性の前では吹っ飛んでしまうようなところがあります。

冒頭に置かれている「トッカータとフーガ」は、ディズニーのアニメ『ファンタジア』でフィラデルフイア管を指揮したストコフスキー自身の演奏に初めて接して、以後忘れられない印象を焼き付けられました。ストコフスキーによるフィラデルフィアとのこの曲のステレオ録音が残されなかったのは返す返すも残念な思いですが、3種残された他のオケとのステレオ録音ではこの曲が全て取り上げられています。中ではこのチェコフィル盤が、その派手な音響効果ともども、最もストコフスキーらしさが味わえる演奏になっているような気がします。また、トッカータとフーガの他にも、平均律第一巻からの前奏曲変ホ短調、パッサカリアに聴かれる哀調の深さは、このチェコフィルとのライヴ盤ならではの聴きものです。

さて、今回のSHM盤で音質はどう改善されたのでしょうか。以前のブログでSHM仕様の音質改善効果について書きましたが、この盤ではわずかにキメが細かくなり、奥行きも少し深くなったように感じられます。ただ残念ながら、期待していたほどの大幅な改善効果は感じられませんでした。SHM盤はレギュラー盤と同時比較して聴くと、それなりに少なからぬ違いがわかるのですが、SHM盤単独にそれだけで聴いても大きな違いは感じられないのかもしれません(当然!?)。特にこのストコフスキーの華麗な編曲と演奏プラス、フェイズ4方式の人工的なサウンドの録音では、音質改善効果など問題にさせなかったのかもしれません。それだけ、ストコフスキーが個性的であるということなので、不思議と裏切られたという気は起こりません。

ストコフスキーのステレオ録音が多数残されている英デッカとフィリップスレーベルを擁するユニバーサル・ミュージックはSACD化に消極的です。ストコフスキーが最晩年にロンドン響とフィリップスレーベルに録音したチャイコフスキーは、オランダのペンタトーンというレーベルが一本買いしてSACD化されています。願わくばチェコフィルとのバッハも、このルートでSACD化を望みたいところです。




バッハ・トランスクリプションズ ストコフスキー&チェコ・フィル(SHM-CD) icon







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