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プライスのクリスマスアルバム [クラシックCD]

時節柄クリスマスアルバムが続きますが、今回取り上げたレオンタイン・プライスのアルバムも前回書いたバエズのアルバム同様に私には欠かせない一枚です。英デッカのCD盤のクリスマスカードみたいなジャケットデザインも気に入っています。

黒人のソプラノ、レオンタイン・プライスは黄金の声とかストラディヴァリウスと称えられた素晴らしいオペラティックな声に恵まれた歌手です。プライス以後に登場したジェシー・ノーマン、キャスリーン・バトル、バーバラ・ヘンドリックスといった黒人のソプラノは皆美しい声を持っていますが、声が持つ威力ではプライスが一頭地を抜いていました。少し紗のかかるようなハスキーな高域が魅力的で、その声のキャラクターが擦弦楽器のヴァイオリンのストラディヴァリウスに喩えられたのかもしれません。

プライスはカラヤンに見いだされてヨーロッパデビューを果たしたと言われていますが、このクリスマスアルバムもカラヤンがウィーンフィルを指揮するという豪華な伴奏が付けられています。日本では『カラヤン/アヴェ・マリア』というタイトルで、プライスの名前よりもカラヤンの名前を前面に押し出して販売されていました。

プライス.jpgレオンタイン・プライス:クリスマスソングス

カラヤン~ウィーンフィル


このカラヤン~ウィーンフィルの伴奏ですが、ウィーンフィルがその編曲共々ムードミュージック(今ではイージーリスニングと言うのでしょうか?)のマントヴァーニ・オーケストラみたいな響きを聴かせているので、カラヤン嫌いの私としても思わずニヤリとさせられてしまいます。

ウィーンフィルのムードオーケストラみたいな伴奏に乗って歌われるプライスの超オペラティックな歌唱は、その意味ではアナクロな演奏といえるかもしれません。けれども、それ故にこそこれらの小曲からはオペラ以上にプライスの歌唱の威力が強く印象づけられます。

プライス2.jpgレオンタイン・プライス
photo by Jack Mitchell
(上記アルバムのジャケット裏より)


プライスはその美声だけではなく、その歌唱に込められた歌心の深さにも打たれます。ヴェルディの「運命の力」の中の『天使の中の聖母よ』など、この短いアリア一曲だけでもプライスの深い感動をともなった歌唱には泣かされます。

このクリスマスアルバムの中ではア・カペラで歌われている黒人霊歌『おさなごイエス』にプライスならではの深い感動が聴かれます。また、アダンの『オ・ホーリー・ナイト』は浸透的な美しい高音で、キリスト降誕の夜の奇跡が歌われていて感動的です。

これだけ強靱な声を持っていたプライスですが、強靱だっただけに衰えるのも予想より早かったようです。その意味でも絶頂期のプライスが聴けるという意味でもこの盤は貴重です。

384.jpg別の英デッカ盤で出ているCDのジャケットはLP初出時のオリジナルジャケットとおぼしき、録音当時の若き日のプライスのポートレートが使われていて懐かしさを覚えさせられます。

現在出ている日本盤はまた別のクリスマスカードのようなジャケットが使われています。今年のクリスマスにはSHM盤で出てくるかもしれません。










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