ブルースペックCDの聴き比べ

ブルースペックCDクラシック編のサンプラー盤を聴きました。同じ録音をレギュラー仕様とブルースペック仕様のCDで聴き比べができるようになっています。

最近、それぞれ異なる方式による特別仕様のCDが数種発売されていますが、従来盤との聴き比べのサンプラーもそれぞれの方式で出ています。ブルースペックCDもその一つで、SHM-CD盤に続いてこちらのサンプラー盤も聴いてみました。

CD素材に特殊なポリカーボネート素材を使用したSHM-CD盤に対して、ブルースペックCD盤は特殊な素材を使っているだけではなく、レーザーカッティングの段階からやり直しています。当然結果はSHM盤よりもさらにはっきりとした大きな違いが出てきます。

ブルースペックＣＤと通常のCDの音質の相違は、ある意味でSACDと通常のCDの音質の相違と似ています。通常のCDに比べると、ブルースペックＣＤでは音場感が随分とスッキリして見通しがよくなります。また、その違いは元のソースがデジタル録音の場合より、アナログ録音の方により顕著に現れるような気がします。

この比較用のサンプラー盤ではレギュラー盤、ブルースペック盤共に、同じDSDリマスターが採用されているようです。まず長年聴き親しんできたワルター～コロンビア響のベートーヴェンの「田園交響曲」をDSDリマスターのレギュラー盤で聴いてみました。これは適度にホールトーンも聴こえ、時代の割り(1958年）にはいい音だと思わせます。これがブルースペック盤になると、さらに録音年代が新しくなったように、よりスッキリと見通しのいい音に改善されます。

このサンプラー盤では共に同じDSDリマスターが採用されているはずですが、レギュラー仕様のDSD仕様盤の方は、よりアナログに近い味わいが感じられます。個人的な好みでは、それぞれ単独に聴いていたらレギュラー仕様盤の方に軍配を挙げていたかもしれません。

ちなみに私が持っているワルター～コロンビアの田園のCDはDSD以前のリマスターですが、DSDにはかなわないものの、これはこれで結構いい味を出しています。私の個人的評価ではワルターの田園に関する限り、DSDリマスターのレギュラー盤、旧リマスターのレギュラー盤、DSDのブルースペック盤という順になりそうです。

ただし、この評価はあくまで個人的な音の好みという順であり、特性は文句なくブルースペックCD、レギュラーDSD、旧リマスターという順であることは疑う余地はありません。個人的な好みの評価は別にして、同じCDフォーマットというスペックの範囲内で、通常CDに対してSACD並の音質改善効果を実感させてくれたブルースペックＣＤの技術には驚くべきものがあると思います。

なお余談ですが、このCDに収録されているグールドのゴールドベルクの再録音の録音年がモノ録音の旧録音の方で表示されています。これは発売元のソニーとしては信じがたいミスです。



聴き比べ体感！Blu-spec CD×CD　クラシック編（比較用ＣＤ付）
追記:

この記事を書いてから1週間ほどして、我が家のオーディオのセッティングを見直しました。セッティング変更前のワルター～コロンビアの田園の個人的評価は、DSDレギュラー、旧リマスター、ブルースペックという順でした。

ところがセッティングを変更した後、再び聴いてみると、この評価は変わりました。それは好みには関係なく、ブルースペックCDが一番で、レギュラーDSD、旧リマスターと、評価も特性順と一致するように変わりました。以前のブログでもブルースペックＣＤはSACD並であると書きましたが、その印象が一層明確になりました。

やはりブルースペックＣＤは飛び抜けて特性がよくなっています。今回聴き直した印象では、古い録音が随分とブラッシュアップされたように聴こえました。

これだけ改善されてしまうと、逆に古い録音自体を、少し手直ししているのではないかという疑問すら出てきます。ブルースペックＣＤのテクノロジーというのは、オリジナルを実際ブラシュアップするものなのか、オリジナルに本来入っていた情報量をより忠実に余さずに再現できるようにするものなのか、あるいはその両者なのか、その判断は難しいところです。実は、この疑問はSACDに対しても同様に持たれるものですが。

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