フルトヴェングラーの「ザ・レジェンド」 [クラシックCD]
フルトヴェングラー~ウィーンフィルのベートーヴェン交響曲のSACDを聴いて、改めてフルトヴェングラー~ウィーンフィルに魅せられて、フルトヴェングラー生誕125周年記念の「ザ・レジェンド」と題する3枚組ボックスセットも購入してみました。この3枚にはベートーヴェンとブラームスの交響曲を除くEMIへのフルトヴェングラー晩年のウィーンフィルとのセッション録音が集められています。1枚目がモーツァルトの40番、ハイドンの驚愕、シューベルトの未完成という3つの交響曲、2枚目と3枚目はグルック、ウェーバーらの序曲にシューベルトのロザムンデ、リストのレ・プレリュード、スメタナのモルダウなどの小品が収録されています。この選曲はちょうど手持ちにない演奏が多く、これは便利なセットと購入してみました。
このセットには、同じEMIへのベートーヴェンの交響曲のセッション録音とちょうど同じ頃、フルトヴェングラー最晩年の1949年から54年にかけてのモノーラルのテープ録音が集められていますが、ベートーヴェンの交響曲に比べると、なぜか随分と時代相応の粗い音質です。リストのレ・プレリュードなど、これで54年録音とは信じられないような歪や音揺れが目立つ録音で、当時の標準的なモノーラル録音としてもかなり水準を下回る音質です。やはり、ベートーヴェンの交響曲は当時としては異例の好録音だったのかもしれません。
このセットの復刻は今回SACD化と共に新たに行われたDSDリマスタリング以前のリマスターが使用されているので、その時代相応の粗さが残念ながらそのまま再生されてしまいます。ただ、3枚で廉価盤1枚ほどの価格なので、フルトヴェングラー~ウィーンフィルの録音のサンプラー(交響曲も含めて各曲とも全曲が収録されていますが)と思えば、それでも随分と割安な価格です。
このリマスターはノイズ成分を取り除くことに意が注がれたらしく、ノイズはきれいに取り除かれていますが、我が家の硬調なタンノイのスピーカーでは、全体にハイ上がりで細身の音質に聴こえます。それでもこのリマスターならではの独特なしなやかさはそれなりに魅力的で、通常のスピーカーで聴けば、かなり良好なリマスターと言ってもよいのではないでしょうか。
演奏はCDでは初めて聴くものが多いのですが、我が家のスピーカーとは相性がイマイチのこのリマスターの音質で聴いても、初めて聴く曲でのフルトヴェングラーには感動させられるところが多々ありました。
モーツァルトの40番ト短調交響曲など、フルトヴェングラーではこのCDで初めて聴く演奏ですが、冒頭の第1楽章の第1テーマによる開始早々、そのポルタメントたっぷりの歌い方には、フルトヴェングラーってこんなにも古かったの? と当初はむしろ驚かされました。ところが耳が慣れてくると、ある意味で妖艶ともいえるような、その現世離れしたポルタメントの美しさに、これもまた、モーツァルト!! と、逆にメロメロになってしまいました。
この3枚組のセットにはその他、あの気の遠くなるような懐かしさで歌い抜かれた間奏曲第3番(昔、ラジオの音楽番組のテーマに使われていたこの曲は、この演奏だったかもしれません)を含むシューベルトのロザムンデ抜粋など、多くの聴きどころが含まれています。このセットで聴いて心を惹かれた演奏の多くは、今回のDSD~SACDリマスタリングで取り上げられているので、是非そちらで買い直してみようと思います。そのためにも、3枚で1000円を下回るこのセットのサンプラーとしての価値は十分にあったと思われます。
なお、この3枚組のボックスセットはクラムシェルボックス仕様の装丁で廉価セットとは思えない素敵なデザインの仕上がりです。1枚でこの3枚セットの3倍以上の価格の国内仕様のSACDの方はデジパック仕様の装丁ながら、かなり安っぽいデザインによる仕上がりです。CDジャケットのデザイナーのセンスというのは結構重要で、このセットのように美しいデザインのCDに巡り合えるのは幸せです。このセットはフルトヴェングラー生誕125周年記念の良きスーヴェニールとして手元に残りそうです。
フルトヴェングラー/ザ・レジェンド(3CD)
このセットには、同じEMIへのベートーヴェンの交響曲のセッション録音とちょうど同じ頃、フルトヴェングラー最晩年の1949年から54年にかけてのモノーラルのテープ録音が集められていますが、ベートーヴェンの交響曲に比べると、なぜか随分と時代相応の粗い音質です。リストのレ・プレリュードなど、これで54年録音とは信じられないような歪や音揺れが目立つ録音で、当時の標準的なモノーラル録音としてもかなり水準を下回る音質です。やはり、ベートーヴェンの交響曲は当時としては異例の好録音だったのかもしれません。
このセットの復刻は今回SACD化と共に新たに行われたDSDリマスタリング以前のリマスターが使用されているので、その時代相応の粗さが残念ながらそのまま再生されてしまいます。ただ、3枚で廉価盤1枚ほどの価格なので、フルトヴェングラー~ウィーンフィルの録音のサンプラー(交響曲も含めて各曲とも全曲が収録されていますが)と思えば、それでも随分と割安な価格です。
このリマスターはノイズ成分を取り除くことに意が注がれたらしく、ノイズはきれいに取り除かれていますが、我が家の硬調なタンノイのスピーカーでは、全体にハイ上がりで細身の音質に聴こえます。それでもこのリマスターならではの独特なしなやかさはそれなりに魅力的で、通常のスピーカーで聴けば、かなり良好なリマスターと言ってもよいのではないでしょうか。
演奏はCDでは初めて聴くものが多いのですが、我が家のスピーカーとは相性がイマイチのこのリマスターの音質で聴いても、初めて聴く曲でのフルトヴェングラーには感動させられるところが多々ありました。
モーツァルトの40番ト短調交響曲など、フルトヴェングラーではこのCDで初めて聴く演奏ですが、冒頭の第1楽章の第1テーマによる開始早々、そのポルタメントたっぷりの歌い方には、フルトヴェングラーってこんなにも古かったの? と当初はむしろ驚かされました。ところが耳が慣れてくると、ある意味で妖艶ともいえるような、その現世離れしたポルタメントの美しさに、これもまた、モーツァルト!! と、逆にメロメロになってしまいました。
この3枚組のセットにはその他、あの気の遠くなるような懐かしさで歌い抜かれた間奏曲第3番(昔、ラジオの音楽番組のテーマに使われていたこの曲は、この演奏だったかもしれません)を含むシューベルトのロザムンデ抜粋など、多くの聴きどころが含まれています。このセットで聴いて心を惹かれた演奏の多くは、今回のDSD~SACDリマスタリングで取り上げられているので、是非そちらで買い直してみようと思います。そのためにも、3枚で1000円を下回るこのセットのサンプラーとしての価値は十分にあったと思われます。
なお、この3枚組のボックスセットはクラムシェルボックス仕様の装丁で廉価セットとは思えない素敵なデザインの仕上がりです。1枚でこの3枚セットの3倍以上の価格の国内仕様のSACDの方はデジパック仕様の装丁ながら、かなり安っぽいデザインによる仕上がりです。CDジャケットのデザイナーのセンスというのは結構重要で、このセットのように美しいデザインのCDに巡り合えるのは幸せです。このセットはフルトヴェングラー生誕125周年記念の良きスーヴェニールとして手元に残りそうです。
フルトヴェングラー/ザ・レジェンド(3CD)
2011-02-17 22:36
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