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エッシェンバッハのシューベルト即興曲 [クラシックCD]

エッシェンバッハが弾いたシューベルト即興曲集がタワーレコードのオリジナル企画からリリースされました。エッシェンバッハが指揮者に転じた現在はピアニスト時代の録音の一部は現役盤はないようで、これも現在は廃盤になっている一枚です。このシューベルト即興曲集はLP時代に評判になった録音ですが、私は所有していませんでした。その後CDでも発売されましたが、私はCDでも聴いていませんでしたので、懐かしさもあって今回のタワレコからのリリースで初めて聴いてみました。


エッシェンバッハが弾いたショパンの前奏曲集の録音は、確か吉田秀和氏が黒い画集と評した演奏で、その評からもわかるように、ピアニスト時代のエッシェンバッハは心の中に閉じ込められたキャンバスに自分だけの心象風景を描いていくかのような孤高な佇まいを感じさせるピアニストでした。その後、ラドゥ・ルプーやポゴレリッチ、近くはアンデルジェフスキといったピアニストたちが登場するようになりましたが、エッシェンバッハの行き方には彼らの演奏の先駆けが見られるような気がします。

エッシェンバッハ.jpgシューベルト 即興曲集 作品90、142  エッシェンバッハ(p)











CDになってからは遠ざかっていたエッシェンバッハのピアノをこうして改めて聴いてみると、想像していた以上に、それは個性的なものでした。エッシェンバッハが弾くシューベルトの即興曲は決して甘口のシューベルトではなく、ほろ苦い辛口のシューベルトでした。独特の硬質なタッチでシューベルトの音楽がリアルに静謐に浮き彫りにされています。

正直なところ超有名曲の作品90の第2番、第4番など、もっと甘口の流れるような演奏で聴きたいところですが、そうならないところがエッシェンバッハのエッシェンバッハたる所以なのでしょう。78年というこの時代らしいDG独特の硬質のオンマイク録音も、エッシェンバッハの演奏にはふさわしいかもしれませんが、私の好みではもう少しオフマイクでホールトーンが欲しいところです。

エッシェンバッハがこのままピアニストを続けていたら、いったいどういうピアノを聴かせてくれたのか、とふと思われました。この即興曲と同じ頃にエッシェンバッハが録音していた同じシューベルトの遺作のイ長調ソナタはLPを所有していましたが、またCDでも聴いてみたくなりました。

クラシックのCDは営利的には厳しい時代を迎えているようですが、タワレコのオリジナル企画により、このような思いがけずも貴重な演奏の記録に巡り合うことができたのは幸せなことです。

Christoph Eschenbach/シューベルト: 即興曲集 (Op.90, Op.142)<タワーレコード限定> [PROC-1256]


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