XRCD+SHMのミュンシュの幻想 [クラシックCD]
ミュンシュ~ボストンの幻想にXRCD+SHM仕様の新譜が加わりました。
ベルリオーズ:幻想交響曲 [1962年録音](XRCD+SHM-CD)
XRCD盤は、米RCA録音を中心に往年のアナログの名録音に特別仕様の高音質リマスターを施して再発しているシリーズです。62年録音のミュンシュ~ボストンの幻想のXRCD盤は既に発売されており、今回はそのXRCDのリマスターを新たにSHMという通常のポリカーボネートとは異なる素材のディスクに落とし込んでの再発売ということになります。XRCD盤は3,465円、XRCD+SHM仕様盤は3,800円というかなり高価な価格設定になっていますが、ミュンシュ~ボストンの幻想に格別の愛着を持つ者としては、単なるディスク素材の変化だけでも、もし音質が変わっているのであればという期待感から、既に所有しているXRCD盤に加えてこちらも購入してしまいました。
ミュンシュは62年録音の5年後の67年にパリ管弦楽団と幻想交響曲を再録音していますが、この演奏がミュンシュの幻想の決定盤としての高い定評を得ているようです。このパリ管とのEMI録音はボストンとのRCA録音に比べて録音の音質が軽めに聴こえてしまうせいもあって、私は未だに62年のボストン盤の方を高く評価しています。この盤も、現在はHQCDという特別仕様の素材で発売されています。
ベルリオーズ:幻想交響曲[1967年録音]
ミュンシュとボストン響との幻想のステレオ録音には、62年録音に先立ちモノーラル録音の最盛期だったステレオ最初期の54年に録音された演奏も残されています。ミュンシュの特徴はどんなに熱狂的になっても、その一方で淡泊な軽さを失わないところにありますが、ボストンとの54年録音は62年録音に比べると、さらにストレートで淡泊な仕上がりなので、この54年盤の方を高く評価するミュンシュ・ファンもいるようです。私としては、より濃厚で知・情・意が絶妙にバランスした62年録音の方を高く評価しているのですが、米国本国によるSACD盤へのリマスターに際しては54年録音の方が選ばれてしまいました。62年録音のSACD化を期待していた私としてはガッカリしましたが、それだけ54年録音も高い評価があるのでしょう。3種のミュンシュの幻想を演奏時間から比較すると、ストレートな解釈のボストンとの54年盤が当然、最も速いのですが、ボストンとの62年盤は後から録音されたパリ管盤より、わずかな違いながら、終楽章を除いては各楽章とも少し遅目になっているのは興味を惹かれるところです。
さて、XRCDへのリマスターですが、正直に言って、かなり期待外れの出来でした。この62年録音は当時としては驚異的な超優秀録音で、音が痩せない分、聴感上の迫力ではよりダイナミックレンジの広い最新録音を上回るものがあるほどです。しかしながらXRCD盤は克明に細部が見通せるように音質が改善された反面、私のセットで聴く限り、音が硬直化するという現象を引き起こしてしまいました。したがってSHM化に際しても、あまり期待はしていませんでした。ところが、これが聴いてびっくり!! レギュラーのXRCD盤での音質の硬さが嘘のように解きほぐされました。SHMでは音が固まらないので、XRCDでより生々しくなったというメリットが、SHM化されたことではじめて生かされたと言ってよいでしょう。欲を言えば62年録音のSACD盤も聴いてみたいところですが、XRCD+SHM盤に聴かれる音の厚みにはかなわないような気がします。さらに夢をふくらませれば、パリ管との演奏もRCA録音のXRCD+SHM仕様で聴けたなら、ボストンとの62年録音を上回るもの凄い演奏だったのかもしれません。
ベルリオーズ:幻想交響曲 [1962年録音](XRCD+SHM-CD)
- アーティスト: ボストン交響楽団 ミュンシュ(シャルル),ベルリオーズ,ミュンシュ(シャルル),ボストン交響楽団
- 出版社/メーカー: ビクタークリエイティブメディア
- 発売日: 2008/08/29
- メディア: CD
XRCD盤は、米RCA録音を中心に往年のアナログの名録音に特別仕様の高音質リマスターを施して再発しているシリーズです。62年録音のミュンシュ~ボストンの幻想のXRCD盤は既に発売されており、今回はそのXRCDのリマスターを新たにSHMという通常のポリカーボネートとは異なる素材のディスクに落とし込んでの再発売ということになります。XRCD盤は3,465円、XRCD+SHM仕様盤は3,800円というかなり高価な価格設定になっていますが、ミュンシュ~ボストンの幻想に格別の愛着を持つ者としては、単なるディスク素材の変化だけでも、もし音質が変わっているのであればという期待感から、既に所有しているXRCD盤に加えてこちらも購入してしまいました。
ミュンシュは62年録音の5年後の67年にパリ管弦楽団と幻想交響曲を再録音していますが、この演奏がミュンシュの幻想の決定盤としての高い定評を得ているようです。このパリ管とのEMI録音はボストンとのRCA録音に比べて録音の音質が軽めに聴こえてしまうせいもあって、私は未だに62年のボストン盤の方を高く評価しています。この盤も、現在はHQCDという特別仕様の素材で発売されています。
ベルリオーズ:幻想交響曲[1967年録音]
- アーティスト: ミュンシュ(シャルル),ベルリオーズ,パリ管弦楽団
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2008/09/26
- メディア: CD
ミュンシュとボストン響との幻想のステレオ録音には、62年録音に先立ちモノーラル録音の最盛期だったステレオ最初期の54年に録音された演奏も残されています。ミュンシュの特徴はどんなに熱狂的になっても、その一方で淡泊な軽さを失わないところにありますが、ボストンとの54年録音は62年録音に比べると、さらにストレートで淡泊な仕上がりなので、この54年盤の方を高く評価するミュンシュ・ファンもいるようです。私としては、より濃厚で知・情・意が絶妙にバランスした62年録音の方を高く評価しているのですが、米国本国によるSACD盤へのリマスターに際しては54年録音の方が選ばれてしまいました。62年録音のSACD化を期待していた私としてはガッカリしましたが、それだけ54年録音も高い評価があるのでしょう。3種のミュンシュの幻想を演奏時間から比較すると、ストレートな解釈のボストンとの54年盤が当然、最も速いのですが、ボストンとの62年盤は後から録音されたパリ管盤より、わずかな違いながら、終楽章を除いては各楽章とも少し遅目になっているのは興味を惹かれるところです。
さて、XRCDへのリマスターですが、正直に言って、かなり期待外れの出来でした。この62年録音は当時としては驚異的な超優秀録音で、音が痩せない分、聴感上の迫力ではよりダイナミックレンジの広い最新録音を上回るものがあるほどです。しかしながらXRCD盤は克明に細部が見通せるように音質が改善された反面、私のセットで聴く限り、音が硬直化するという現象を引き起こしてしまいました。したがってSHM化に際しても、あまり期待はしていませんでした。ところが、これが聴いてびっくり!! レギュラーのXRCD盤での音質の硬さが嘘のように解きほぐされました。SHMでは音が固まらないので、XRCDでより生々しくなったというメリットが、SHM化されたことではじめて生かされたと言ってよいでしょう。欲を言えば62年録音のSACD盤も聴いてみたいところですが、XRCD+SHM盤に聴かれる音の厚みにはかなわないような気がします。さらに夢をふくらませれば、パリ管との演奏もRCA録音のXRCD+SHM仕様で聴けたなら、ボストンとの62年録音を上回るもの凄い演奏だったのかもしれません。
2008-09-28 16:20
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