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コレギウム・アウレウム四重奏団のベートーヴェン作品132 [クラシックCD]

LP時代に聴いた懐かしいコレギウム・アウレウム四重奏団のベートーヴェン後期の弦楽四重奏曲第15番イ短調作品132がCD化されました。生誕80周年を記念して発売されたレオンハルトのSACDの特典盤として付いてきたものです。

うれしいことにトンボの羽根が日の光に透けているジャケットもLPそのままです。

コレギウム.jpgコレギウム・アウレウム四重奏団は同名の合奏団のコンサートマスターのフランツヨーゼフ・マイヤーが第一ヴァイオリンを担当して主宰する四重奏団で、同名の合奏団同様、ガット弦によるピリオド楽器が用いられています。ただし、この合奏団と四重奏団の演奏は、モダンからピリオドへと移り変わる過渡期的な時期を反映し、未だヴィヴラートが残された奏法が採用されています。

ヴィヴラート付きのガット弦の演奏というのは、今聴くと中途半端で折衷的な奏法なのかもしれません。けれどもそこには独特のしっとりとした肌触りが感じられ、それはそれでスチール弦やノンヴィヴラートによるガット弦の演奏には代え難い独自の美しさを主張しているのではないかと思われます。

このベートーヴェン後期の四重奏曲をLPで初めて聴いたのが、コレギウム・アウレウム四重奏団の演奏でした。その後CD時代に入ってから、この曲の代表盤と言われているラサール四重奏団やアルバン・ベルク四重奏団の演奏を聴くようになりましたが、その間CD化されなかったコレギウム・アウレウム四重奏団によるこの演奏を懐かしく思い出していました。

さて、ラサールやアルバン・ベルクで聴き慣れてしまったこの曲で、久しぶりに聴くコレギウム・アウレウム四重奏団の演奏はどう聴こえたのでしょうか。結果は、この団体独自の美しさに改めて感嘆させられました。マイヤーの浸透的なガット弦のヴァイオリンのカンタービレは、バロックではやはり少し古く聴こえてしまうこともあります。ところがベートーヴェンで、しかも最後期のロマンチックな作品では、マイヤーのカンタービレが曲のロマン性の襞の深さによく適合しています。

この演奏独特の透明感と陰影感をともなう表現をCDで聴けたことは、やはり幸せな体験になりました。それは、まさに光に透けたトンボの羽根のジャケットの視覚的な印象をそのまま音楽に置き換えた演奏でもあるかのように聴こえました。
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