グリュミオーの星空の協奏曲 [クラシックCD]
LP時代に親しんだグリュミオーのヴァイオリンによるベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲をSACDで聴いてみました。
実はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の私の本命盤はオイストラッフのヴァイオリンにクリュイタンスが指揮している演奏の方なのですが、このグリュミオー盤は個人的に密かに「グリュミオーの星空のヴァイオリン協奏曲」と呼んでいる、忘れられない思い出があります。
と言うのは、今は取り壊されてしまった渋谷の東急文化会館のプラネタリウムで、昔「星空と音楽の夕べ」というイベントが行われていて、そこで取り上げられたのが、このグリュミオー盤だったからです。これは毎土曜の夜(ではなかったかと思いますが?)、プラネタリウムの星空を眺めながらレコード音楽を楽しむというイベントでした。夕焼けから徐々に夜空の星空へと移り変わっていくプラネタリウムのドームに浮かび上がる映像に合わせて、この演奏の第二楽章が流されました。今でもこの曲の第二楽章を聴くと、プラネタリウムの星空が甦りますが、それはグリュミオーの演奏であればなおさらのことです。
グリュミオーのこの演奏は、第一楽章冒頭のアインガングの出だしから、少しナヨッとしたグリュミオー節とも言える独特な歌い口です。これでこの先どうなるのかと心配になるほどですが、聴き進むと、グリュミオーならではの丁寧で優しい歌い口は、他のヴァイオリニストからは聴けない独自の美しさをこの曲からも引き出しているのがわかります。やはり星空をバックに聴くのにはふさわしい演奏と言えるかもしれません。
この優しいグリュミオーのヴァイオリンに対して、デイヴィス~コンセルトヘボウが、これまた見事な伴奏を付けています。この曲ではオーケストラも個人的にはクリュイタンスの方を上に置きますが、デイヴィスのシンフォニックで深沈と沈み込んでいくような趣も捨てがたい良さが感じられます。この曲の第一楽章で重要な役割を担っているティンパニが効いていることでは、このデイヴィス盤が一番です。
さて、期待していたこの演奏のSACDです。オランダのペンタトーンというレーベルがフィリップス録音を一本買いしてSACD化しているものの中の一枚です。
この録音は74年のアナログ録音ですが、SACDで聴いてみると、昔聴いたLPの音が甦ってきてうれしくなりました。通常はアナログ録音のSACDと言っても、その音がLPに近づくわけではありません。ところがこのSACDではハイブリッド仕様のCD層で聴いてもLPに近いという印象は変わらないので、これはリマスターがうまくアナログらしい特性を出しているのかもしれません。もちろんLPの音により近いのはSACD層の方ですが。アナログ録音は、高性能の24ビットのデジタル録音を上回るビット数の録音に理論上は相当するというのが、このSACDを聴いていると納得できるような気がします。
この録音のCDはSACD以前にはAMSIという人工的にアンビエント効果を付加したエロクアンスという廉価盤のシリーズの中の一枚のCDで聴いていました。これはわずかに電気的な位相操作によるアンビエント効果(エコーではない)が施された方式ですが、不自然な違和感はありません。ペンタトーンのSACDと比べると、むしろ極く標準的な普通のCDの音ですが、SACDを聴かなければ、これで十分というレベルの、これも良好なリマスターです。廉価仕様のエロクアンス・シリーズは今でもオーストラリア盤が出ていますが、そちらはAMSIは施されているのでしょうか。
SACD盤はブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番とのカップリングですが、こちらのエロクアンス盤は二つのロマンスがフィルアップされています。ロマンスはCD化に際してカップリングされた演奏なので、デイヴィスの伴奏ではなく、デ・ワールト指揮のニュー・フィルハーモニア管の伴奏です。
今、ちょうど獅子座流星群が最盛期を迎えているようですが、久しぶりにこの演奏のCDを取り出して聴いてみて、昔に見たプラネタリウムの星空が懐かしく甦ってきました。
ヴァイオリン協奏曲、他 グリュミオー、デイヴィス&コンセルトヘボウ管
ヴァイオリン協奏曲、ロマンス第1、2番 グリュミオー(Vn)C・デイヴィス&コンセルトヘボウ管弦楽団
実はベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲の私の本命盤はオイストラッフのヴァイオリンにクリュイタンスが指揮している演奏の方なのですが、このグリュミオー盤は個人的に密かに「グリュミオーの星空のヴァイオリン協奏曲」と呼んでいる、忘れられない思い出があります。
と言うのは、今は取り壊されてしまった渋谷の東急文化会館のプラネタリウムで、昔「星空と音楽の夕べ」というイベントが行われていて、そこで取り上げられたのが、このグリュミオー盤だったからです。これは毎土曜の夜(ではなかったかと思いますが?)、プラネタリウムの星空を眺めながらレコード音楽を楽しむというイベントでした。夕焼けから徐々に夜空の星空へと移り変わっていくプラネタリウムのドームに浮かび上がる映像に合わせて、この演奏の第二楽章が流されました。今でもこの曲の第二楽章を聴くと、プラネタリウムの星空が甦りますが、それはグリュミオーの演奏であればなおさらのことです。
グリュミオーのこの演奏は、第一楽章冒頭のアインガングの出だしから、少しナヨッとしたグリュミオー節とも言える独特な歌い口です。これでこの先どうなるのかと心配になるほどですが、聴き進むと、グリュミオーならではの丁寧で優しい歌い口は、他のヴァイオリニストからは聴けない独自の美しさをこの曲からも引き出しているのがわかります。やはり星空をバックに聴くのにはふさわしい演奏と言えるかもしれません。
この優しいグリュミオーのヴァイオリンに対して、デイヴィス~コンセルトヘボウが、これまた見事な伴奏を付けています。この曲ではオーケストラも個人的にはクリュイタンスの方を上に置きますが、デイヴィスのシンフォニックで深沈と沈み込んでいくような趣も捨てがたい良さが感じられます。この曲の第一楽章で重要な役割を担っているティンパニが効いていることでは、このデイヴィス盤が一番です。
さて、期待していたこの演奏のSACDです。オランダのペンタトーンというレーベルがフィリップス録音を一本買いしてSACD化しているものの中の一枚です。
この録音は74年のアナログ録音ですが、SACDで聴いてみると、昔聴いたLPの音が甦ってきてうれしくなりました。通常はアナログ録音のSACDと言っても、その音がLPに近づくわけではありません。ところがこのSACDではハイブリッド仕様のCD層で聴いてもLPに近いという印象は変わらないので、これはリマスターがうまくアナログらしい特性を出しているのかもしれません。もちろんLPの音により近いのはSACD層の方ですが。アナログ録音は、高性能の24ビットのデジタル録音を上回るビット数の録音に理論上は相当するというのが、このSACDを聴いていると納得できるような気がします。
この録音のCDはSACD以前にはAMSIという人工的にアンビエント効果を付加したエロクアンスという廉価盤のシリーズの中の一枚のCDで聴いていました。これはわずかに電気的な位相操作によるアンビエント効果(エコーではない)が施された方式ですが、不自然な違和感はありません。ペンタトーンのSACDと比べると、むしろ極く標準的な普通のCDの音ですが、SACDを聴かなければ、これで十分というレベルの、これも良好なリマスターです。廉価仕様のエロクアンス・シリーズは今でもオーストラリア盤が出ていますが、そちらはAMSIは施されているのでしょうか。
SACD盤はブルッフのヴァイオリン協奏曲第2番とのカップリングですが、こちらのエロクアンス盤は二つのロマンスがフィルアップされています。ロマンスはCD化に際してカップリングされた演奏なので、デイヴィスの伴奏ではなく、デ・ワールト指揮のニュー・フィルハーモニア管の伴奏です。
今、ちょうど獅子座流星群が最盛期を迎えているようですが、久しぶりにこの演奏のCDを取り出して聴いてみて、昔に見たプラネタリウムの星空が懐かしく甦ってきました。
ヴァイオリン協奏曲、他 グリュミオー、デイヴィス&コンセルトヘボウ管
ヴァイオリン協奏曲、ロマンス第1、2番 グリュミオー(Vn)C・デイヴィス&コンセルトヘボウ管弦楽団
2009-11-14 18:32
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