BSのフランチェスコ・メーリ、テナー・リサイタル [クラシック演奏会]
NHK・BSで放映されたフランチェスコ・メーリのテナー・リサイタルを聴きました。フランチェスコ・メーリは初めて聞く名前ですが、1980年生まれのイタリアの新人テノールです。
クラシックファンは、音楽を映像と音声で楽しむAV派と、CDで音声だけを楽しむCD派にはっきりと二分されるようです(稀に両者を楽しむ人もいるようですが)。私は典型的な後者で、LP時代からレコーディングに残された演奏により音だけで音楽を楽しんで育ってきた世代です。
この度、地デジ化を機に液晶テレビに買い換え、新たにBSも見られるようになり、苦手なライヴ演奏を早速、録画してみました。AVライヴが苦手な上に、未知のものは大の食わず嫌いで、新人には滅多に手を出さない私としては、地デジ化という機会がなければ全く無視してしまったライヴです。
このテノール・リサイタルも全く期待していなかったのですが、予想に反し、これが耳から鱗の思いがけないうれしい拾いもので、久しぶりにいい新人と巡り会えることになりました。
メーリはそのレパートリーと声質からいってリリコとリリコ・スピントの中間ぐらいのリリック・テナーになるのでしょうか。とにかく真っ直ぐでブリリアントな、きれいな声です。その澄んだリリカルな美声は十分スピントな強靱さも併せ持っているので、そのうちさらにドラマチックな太さを増して三大テナーの後を継ぐプリモ・テナーへと登りつめそうな気配が感じられます。
けれどもこういうリリック・テナーの美声が聴けるのは、その歌手の声質がまだリリカルで、必要以上にドラマチックにならない若い頃の、ほんの一時期だけと言えそうです。メーリの声はリリック・テナーとして今、その一番きれいな時期と言えるのかもしれません。
「フェデリコの嘆き」はさらに悲痛に、「人知れぬ涙」はもう少し甘く、「星は光りぬ」はさらにドラマチックにと、これでもかと言わんばかりの名テナーによるグラマラスな歌唱を聴き慣れた耳には、その表現はまだ青く物足りないところがあります。けれどもそのストレートな歌唱には、ベテラン歌手の厚化粧の歌唱からは聴かれない、若者ならではの初々しい潔さが感じられます。
なお、何とアンコール(?)でセレーナ・ガンベローニというソプラノが登場し、「ラクメ」からの二重唱を披露。これもガンベローニ共々、素敵な歌唱でした。また、浅野菜生子さんのピアノ伴奏は、ふっくらしたきれいな音で、ドラマチックな力強さも十分。オーケストラ伴奏ではない物足りなさを感じさせないいいピアノでした。
どうやら、やはり食わず嫌いの偏見は禁物のようです。ポスト三大テナーとも言うべき声と才能を持った新人が、知らないうちに現れていたようです。これを機に苦手なAVライヴにも音楽を聴く楽しみを広げてみることにしましょうか。
クラシックファンは、音楽を映像と音声で楽しむAV派と、CDで音声だけを楽しむCD派にはっきりと二分されるようです(稀に両者を楽しむ人もいるようですが)。私は典型的な後者で、LP時代からレコーディングに残された演奏により音だけで音楽を楽しんで育ってきた世代です。
この度、地デジ化を機に液晶テレビに買い換え、新たにBSも見られるようになり、苦手なライヴ演奏を早速、録画してみました。AVライヴが苦手な上に、未知のものは大の食わず嫌いで、新人には滅多に手を出さない私としては、地デジ化という機会がなければ全く無視してしまったライヴです。
このテノール・リサイタルも全く期待していなかったのですが、予想に反し、これが耳から鱗の思いがけないうれしい拾いもので、久しぶりにいい新人と巡り会えることになりました。
メーリはそのレパートリーと声質からいってリリコとリリコ・スピントの中間ぐらいのリリック・テナーになるのでしょうか。とにかく真っ直ぐでブリリアントな、きれいな声です。その澄んだリリカルな美声は十分スピントな強靱さも併せ持っているので、そのうちさらにドラマチックな太さを増して三大テナーの後を継ぐプリモ・テナーへと登りつめそうな気配が感じられます。
けれどもこういうリリック・テナーの美声が聴けるのは、その歌手の声質がまだリリカルで、必要以上にドラマチックにならない若い頃の、ほんの一時期だけと言えそうです。メーリの声はリリック・テナーとして今、その一番きれいな時期と言えるのかもしれません。
「フェデリコの嘆き」はさらに悲痛に、「人知れぬ涙」はもう少し甘く、「星は光りぬ」はさらにドラマチックにと、これでもかと言わんばかりの名テナーによるグラマラスな歌唱を聴き慣れた耳には、その表現はまだ青く物足りないところがあります。けれどもそのストレートな歌唱には、ベテラン歌手の厚化粧の歌唱からは聴かれない、若者ならではの初々しい潔さが感じられます。
なお、何とアンコール(?)でセレーナ・ガンベローニというソプラノが登場し、「ラクメ」からの二重唱を披露。これもガンベローニ共々、素敵な歌唱でした。また、浅野菜生子さんのピアノ伴奏は、ふっくらしたきれいな音で、ドラマチックな力強さも十分。オーケストラ伴奏ではない物足りなさを感じさせないいいピアノでした。
どうやら、やはり食わず嫌いの偏見は禁物のようです。ポスト三大テナーとも言うべき声と才能を持った新人が、知らないうちに現れていたようです。これを機に苦手なAVライヴにも音楽を聴く楽しみを広げてみることにしましょうか。
タグ:フランチェスコ・メーリ
2010-05-31 22:41
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