フルトヴェングラー「運命」のSACD [クラシックCD]
フルトヴェングラー最晩年のベートーヴェンの交響曲のEMIEへの録音がSACDになりました。EMIのフルトヴェングラーのベートーヴェンの交響曲全集は、かなり状態の良くない第2と第8のライヴ（なぜ他から見つけてきたこのような劣悪な録音を全集に入れる必要があるのでしょうか?）を除き、その他の交響曲のセッション録音と第9のバイロイト・ライヴは当時の水準としても優秀な録音で、これらの曲に関しては他のフルトヴェングラーのライヴも含めて最良の音質といってよいでしょう。それらをさらに良い音質で聴きたいという思いから、新リマスターが出るたびについつい手を出してしまっていました。現在ではEMI本国の英国によるartリマスタリング盤で楽しんでいましたが、このほど新リマスタリングが行われ、ついにSACDにも起こされることになりました。
今回のリマスターはEMIに残されたフルトヴェングラーの代表的な録音を英国EMIがDSD方式でリマスタリングしたもので、新リマスターはCDとSACDに起こされました。新DSDリマスターのうちベートーヴェンとブラームスの交響曲（ブラームスはライヴ）は本国から出ている廉価なCDボックスセットにも収められていますが、SACDの方は国内のEMI（今は社名に東芝はつかないのかしら？）からの限定発売のようです。その中から、まずベートーヴェンの第5交響曲「運命」に第7交響曲がフィルアップされた盤を購入してみました。
早速、「運命」から聴いてみました。SACDの結果やいかに? ウ～ム、やはり凄い。まずDSDによるリマスタリング音質を確認すべく、ハイブリッドのCD層から聴いてみました。これがあきれるほどの高音質。「運命」のセッション録音は元来当時としては奇跡的に音質の良い録音で、art盤でも十分に満足していたのですが、その録音がさらに瑞々しくリアルに蘇りました。当初は果たしてその効果があるのかどうか artからDSDへの買い替えをためらっていましたが、このリマスター音質ならば、SACDではなくCDとしてもartからの買い替え価値は十分にあると言えそうです。
そしてSACDへ。さらにレンジが広がりアコースティックなプレゼンスがナチュラルに再現されます。こうなると、逆にモノーラルで左右に広がらないのが不思議に感じられるほどです。中央に集まるとはいえ、その音質自体は、もはやカリカリ、ツルピカの薄っぺらな最新のデジタル録音よりは遥かに強いリアリティが感じられます。
さて次に併録の第7交響曲を聴いてみました。50年録音の第7は54年録音の運命に比べ、artによるリマスターをもってしても従来は録音年代の古さが目立つ録音でした。今回は何と新たなマスターテープが発見され、新しいマスターテープによる初リリースになりました。ところが実際聴いてみると、新発見マスターは旧マスターに比べハイ上がりの音質なので最初は戸惑いましたが、新リマスターの音質に徐々に耳が慣れてくると、やはりその音質改善効果は圧倒的なのがわかってきました。この新発見マスター使用の第7は運命とは音質傾向は異なるものの、これはこれで50年という録音年代が信じられない優秀な音質の録音に生まれ変わっていることに間違いありません。60年も昔の録音にここまでの音が入っていたとは!!
artのリマスター盤のような少数の例外を除けば、多くの歴史的録音のCDの音質はLPで聴いていた時に比べると、あまりにも貧しい音質になってしまい失望させられてきました。CDでは残念ながらその特性上、録音の貧しさがさらにリアルに強調されてしまうのかもしれません。そこに一条の救いの光となって差し込んだのがSACDでした。SACDというのは最新のデジタル録音以上に、歴史的なアナログ録音のリマスターを聴く上で有利に働くメディアではないかと思います（デジタル録音ならCDレベルでも十分!?)。フルトヴェングラーのベートーヴェンのEMI録音もSACD化を待ち望んでいたのですが、なかなかSACD化されず諦めかけていたので、この度のSACD化は望外の幸福です。これは、どうも運命だけではなく田園と第9、そして英雄のSACDまで早晩、購入してしまいそうです。近々そちらの視聴結果のブログが登場するかもしれません。この出来なら、今までその音質の悪さから敬遠していたライヴ録音によるブラームスの交響曲の方のSACDも期待してもいいのかもしれないということを、申し添えておきたいと思います。
交響曲第５番『運命』、第７番 フルトヴェングラー＆ウィーン・フィル（１９５４、１９５０）（２４ビット・リマスター限定盤）
- アーティスト:
- 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
- 発売日: 2011/01/19
- メディア: CD
今回のリマスターはEMIに残されたフルトヴェングラーの代表的な録音を英国EMIがDSD方式でリマスタリングしたもので、新リマスターはCDとSACDに起こされました。新DSDリマスターのうちベートーヴェンとブラームスの交響曲（ブラームスはライヴ）は本国から出ている廉価なCDボックスセットにも収められていますが、SACDの方は国内のEMI（今は社名に東芝はつかないのかしら？）からの限定発売のようです。その中から、まずベートーヴェンの第5交響曲「運命」に第7交響曲がフィルアップされた盤を購入してみました。
早速、「運命」から聴いてみました。SACDの結果やいかに? ウ～ム、やはり凄い。まずDSDによるリマスタリング音質を確認すべく、ハイブリッドのCD層から聴いてみました。これがあきれるほどの高音質。「運命」のセッション録音は元来当時としては奇跡的に音質の良い録音で、art盤でも十分に満足していたのですが、その録音がさらに瑞々しくリアルに蘇りました。当初は果たしてその効果があるのかどうか artからDSDへの買い替えをためらっていましたが、このリマスター音質ならば、SACDではなくCDとしてもartからの買い替え価値は十分にあると言えそうです。
そしてSACDへ。さらにレンジが広がりアコースティックなプレゼンスがナチュラルに再現されます。こうなると、逆にモノーラルで左右に広がらないのが不思議に感じられるほどです。中央に集まるとはいえ、その音質自体は、もはやカリカリ、ツルピカの薄っぺらな最新のデジタル録音よりは遥かに強いリアリティが感じられます。
さて次に併録の第7交響曲を聴いてみました。50年録音の第7は54年録音の運命に比べ、artによるリマスターをもってしても従来は録音年代の古さが目立つ録音でした。今回は何と新たなマスターテープが発見され、新しいマスターテープによる初リリースになりました。ところが実際聴いてみると、新発見マスターは旧マスターに比べハイ上がりの音質なので最初は戸惑いましたが、新リマスターの音質に徐々に耳が慣れてくると、やはりその音質改善効果は圧倒的なのがわかってきました。この新発見マスター使用の第7は運命とは音質傾向は異なるものの、これはこれで50年という録音年代が信じられない優秀な音質の録音に生まれ変わっていることに間違いありません。60年も昔の録音にここまでの音が入っていたとは!!
artのリマスター盤のような少数の例外を除けば、多くの歴史的録音のCDの音質はLPで聴いていた時に比べると、あまりにも貧しい音質になってしまい失望させられてきました。CDでは残念ながらその特性上、録音の貧しさがさらにリアルに強調されてしまうのかもしれません。そこに一条の救いの光となって差し込んだのがSACDでした。SACDというのは最新のデジタル録音以上に、歴史的なアナログ録音のリマスターを聴く上で有利に働くメディアではないかと思います（デジタル録音ならCDレベルでも十分!?)。フルトヴェングラーのベートーヴェンのEMI録音もSACD化を待ち望んでいたのですが、なかなかSACD化されず諦めかけていたので、この度のSACD化は望外の幸福です。これは、どうも運命だけではなく田園と第9、そして英雄のSACDまで早晩、購入してしまいそうです。近々そちらの視聴結果のブログが登場するかもしれません。この出来なら、今までその音質の悪さから敬遠していたライヴ録音によるブラームスの交響曲の方のSACDも期待してもいいのかもしれないということを、申し添えておきたいと思います。
交響曲第５番『運命』、第７番 フルトヴェングラー＆ウィーン・フィル（１９５４、１９５０）（２４ビット・リマスター限定盤）
2011-01-22 12:23
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